治療

私が小学生の頃、医師に間一髪の治療をしていただきました。

私が小学生だったある夏の夜のこと、私は耳の中に激痛を感じ、夜中に起きて大声を上げてしまいました。何事かと思って飛び起きた両親と、当時まだ生きていた祖父母まで起きだし、我が家は騒然となりました。

 

 

 

耳が痛いと叫ぶ私に、父は懐中電灯を使って私の耳の中に光を当てると、昆虫の虫らしきものが見えるというのでした。しかし、光に慌てたその昆虫は私の耳の穴の中ではバックすることもできずに、どんどんと奥に入っていってしまいました。

 

 

 

まるで砂浜のようなザザっとした音だけが耳に聞こえ、そのたびに激痛が走りました。父と母は私を車に乗せ、地元の耳鼻科を回りました。1軒目は母が呼び鈴を鳴らしても起きる気配もありませんでした。それもそのはず、時刻は午前1時を回っていたのです。

 

 

 

私の耳の激痛はおさまることなく、そのたびにあのザザっとした音が聞こえてくるのでした。そして2軒目に訪れた病院に明かりがついていて、呼び鈴を鳴らすと医師がドアを開けてくれ、大急ぎで治療を進めてくれました。

 

 

 

細い管のような吸引機が私の耳の中に入ると、中からこがね虫が出てきたのでした。医師が言うにはあともう少し治療が遅れていたら、こがね虫に鼓膜を破られ、とんでもないことになっていたそうです。そして、そんな拷問に近い激痛に、けっして泣くことなく、よく耐えたと言って私を誉めてくれました。

 

 

 

父と母がその医師に話を聞いたところ、医師は夜中まで一人勉強をして起きていたのだということでしたが、私はこのときこの医師に対し、大変感謝をしました。この出来事から既にかなりの時間が経過しているのですが、私はこのときの医師の対応やいただいた言葉をけっして忘れることはできません。